
お酒と多糖類の関係
多糖類とは、その名前の通り、たくさんの糖が結びついたものです。糖とは、ブドウ糖や果糖といった、甘みの元となる成分です。これらの糖が鎖のように長く連なることで、多糖類となります。私たちの身近な食べ物にも、多くの多糖類が含まれています。例えば、ご飯やパン、麺類などに含まれる澱粉は、多糖類の一種です。また、野菜などに含まれる食物繊維も、多糖類です。特に、植物の細胞壁を構成するセルロースは、代表的な食物繊維として知られています。これらの多糖類は、私たちが生きていく上で欠かせない役割を担っています。澱粉は、体内でブドウ糖に分解され、主要なエネルギー源となります。一方、セルロースは、体内で消化吸収されませんが、腸の働きを促し、健康維持に役立っています。多糖類は、多くの糖がつながっているため、そのままでは体内に吸収できません。そこで、私たちの体の中では、消化酵素のはたらきによって、多糖類を小さな糖に分解しています。澱粉であれば、まず唾液や膵液に含まれるアミラーゼという酵素によって、麦芽糖などの二糖類に分解されます。その後、小腸でマルターゼなどの酵素によって、ブドウ糖にまで分解され、ようやく吸収されるのです。この多糖類の分解の過程は、お酒造りにおいても非常に重要です。例えば、日本酒造りでは、米に含まれる澱粉を麹菌の酵素でブドウ糖に分解し、それを酵母がアルコール発酵することで、お酒が造られます。ビール造りでは、麦芽に含まれる澱粉を麦芽自身の酵素で糖化し、同様に酵母によって発酵させます。このように、多糖類の分解と発酵という過程は、お酒造りの根幹を成していると言えるでしょう。