日本酒 お酒の世界の縁の下の力持ち:ゼラチン
プルプルとした食感で親しまれているゼラチン。デザートを思い浮かべる方も多いことでしょう。しかし、このゼラチンの活躍の場は、甘いお菓子作りだけにとどまりません。実は、お酒の世界、特に日本酒造りにおいても重要な役割を担っているのです。ゼラチンとは一体どのようなものなのでしょうか。簡単に言うと、動物の骨や皮、腱などを長時間水で煮出すことで得られるタンパク質の一種です。ゼリーのような弾力を持つこの物質は、お菓子作り以外にも、写真フィルムや医薬品など、様々な分野で利用されています。無味無臭で透明度が高いことも大きな特徴です。食品に添加しても風味や見た目を損なうことがないため、幅広い用途で活用できるのです。日本酒造りにおいて、ゼラチンは「滓下げ」と呼ばれる工程で活躍します。日本酒は発酵過程で澱が発生し、白く濁ってしまいます。滓下げとは、この濁りの成分を沈殿させて、透明度の高いお酒にするための工程です。ここでゼラチンが重要な役割を果たします。ゼラチンは濁りの成分を吸着し、絡めとり、沈殿を促すのです。まるで磁石のように濁りの成分を引き寄せ、お酒を美しく澄んだ状態へと導きます。このように、ゼラチンは日本酒の製造過程において、品質向上に欠かせない存在と言えるでしょう。普段何気なく口にしている日本酒の透明感も、実はゼラチンの働きによって支えられているのです。ゼラチンの活躍を知ることで、日本酒を味わう楽しみもまた一つ増えるのではないでしょうか。
