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お酒と高分子:知られざる関係

私たちの身の回りには、たくさんの物が存在しますが、実はその多くが高分子でできています。食品、衣類、住居など、生活に欠かせないものが高分子のおかげで成り立っているといっても過言ではありません。では、高分子とは一体どのようなものなのでしょうか。高分子とは、小さな分子がたくさん繋がり、鎖のように長く複雑な構造を形作った巨大な分子のことです。小さな分子は、高分子の構成単位となるため、単量体とも呼ばれます。この単量体が鎖のように次々と繋がり、高分子が作られます。ご飯やパンなどに含まれるでんぷん、肉や魚、大豆などに含まれるたんぱく質は、高分子の代表的な例です。でんぷんは、ぶどう糖という単量体が多数連結してできています。ぶどう糖は、私たちが活動するためのエネルギー源となる重要な物質です。また、たんぱく質は、アミノ酸という単量体が多数連結してできています。たんぱく質は、体の組織を作る上で欠かせない栄養素です。高分子は、単量体の種類や連結の仕方によって、様々な性質を持つようになります。例えば、でんぷんは水に溶けると粘り気を持ちますが、たんぱく質は水に溶けるとゼリー状に固まることもあります。また、レジ袋やペットボトルなどのプラスチック、タイヤやボールなどのゴムも高分子の一種です。これらは、石油を原料とする単量体から作られています。プラスチックは、軽くて丈夫なため、様々な容器や包装材に使われています。ゴムは、弾力性に富んでいるため、タイヤやボールなどに使われています。このように、高分子は、単量体の種類や連結の仕方によって様々な性質を示し、私たちの生活のあらゆる場面で役立っています。高分子は、私たちの生活を支えるなくてはならない物質と言えるでしょう。
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お酒の世界の縁の下の力持ち:ゼラチン

プルプルとした食感で親しまれているゼラチン。デザートを思い浮かべる方も多いことでしょう。しかし、このゼラチンの活躍の場は、甘いお菓子作りだけにとどまりません。実は、お酒の世界、特に日本酒造りにおいても重要な役割を担っているのです。ゼラチンとは一体どのようなものなのでしょうか。簡単に言うと、動物の骨や皮、腱などを長時間水で煮出すことで得られるタンパク質の一種です。ゼリーのような弾力を持つこの物質は、お菓子作り以外にも、写真フィルムや医薬品など、様々な分野で利用されています。無味無臭で透明度が高いことも大きな特徴です。食品に添加しても風味や見た目を損なうことがないため、幅広い用途で活用できるのです。日本酒造りにおいて、ゼラチンは「滓下げ」と呼ばれる工程で活躍します。日本酒は発酵過程で澱が発生し、白く濁ってしまいます。滓下げとは、この濁りの成分を沈殿させて、透明度の高いお酒にするための工程です。ここでゼラチンが重要な役割を果たします。ゼラチンは濁りの成分を吸着し、絡めとり、沈殿を促すのです。まるで磁石のように濁りの成分を引き寄せ、お酒を美しく澄んだ状態へと導きます。このように、ゼラチンは日本酒の製造過程において、品質向上に欠かせない存在と言えるでしょう。普段何気なく口にしている日本酒の透明感も、実はゼラチンの働きによって支えられているのです。ゼラチンの活躍を知ることで、日本酒を味わう楽しみもまた一つ増えるのではないでしょうか。
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お酒とタンパク質の深い関係

お酒には、酔いの原因となるお酒の素以外にも、さまざまな成分が含まれています。甘みを感じる糖分や、酸味の元となる有機酸、そして健康に欠かせないミネラルなど、お酒の種類や造り方によって、その中身は実にさまざまです。中でも、お酒の風味や味わいに大きな影響を与えるのが、たんぱく質です。ビールのきめ細やかな泡立ちや、日本酒のまろやかな舌触り、ワインの奥深い香りは、たんぱく質の働きによるものと言っても言い過ぎではありません。お酒の種類によって含まれるたんぱく質の種類や量は異なり、それがお酒の特徴的な風味や口当たりを生み出しているのです。例えば、ビールの泡立ちの良さは、麦芽に含まれるたんぱく質が炭酸ガスと結びつくことで生まれます。このたんぱく質が少なければ泡はすぐに消えてしまい、多すぎると泡が粗くなってしまいます。ビール職人は、この微妙なバランスを調整することで、理想的な泡立ちを実現しているのです。また、日本酒の濁り酒に見られる白濁した色は、米に含まれるたんぱく質が溶け出しているために起こる現象です。このたんぱく質は、日本酒にコクと深みを与えます。さらに、熟成が進むにつれて、たんぱく質は変化し、お酒の味わいをまろやかにしていきます。長期間熟成された古酒に見られる独特の風味も、たんぱく質の変化によるものです。ワインにおいても、たんぱく質は重要な役割を果たしています。ブドウの皮に含まれるたんぱく質は、ワインの色合いや渋みに影響を与えます。また、熟成中にたんぱく質が変化することで、複雑な香りが生まれます。このように、たんぱく質の種類や量、そしてその変化によって、お酒の個性が大きく左右されるのです。それぞれのお酒が持つ独特の風味や味わいは、こうした成分の複雑な組み合わせによって生み出されていると言えるでしょう。