被害粒

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日本酒

酒造りの邪魔者?被害粒の正体

美味しいお酒を造る上で、原料となる酒米選びは最初の大切な作業です。酒米は、私たちが普段食べているお米とは異なり、お酒造りに適した特別な性質を持っています。その性質とは、心白と呼ばれる白く濁った部分が大きく、蛋白質が少ないことです。この心白は、お酒の香りや風味、舌触りを決める重要な部分です。しかし、収穫された酒米の中には、様々な要因で質が落ちてしまった米粒が混ざっています。これらは被害粒と呼ばれ、お酒の質に悪い影響を与えるため、選別の際に注意深く取り除かなければなりません。例えば、稲がまだ青い時期に刈り取られた未熟粒や、収穫後に雨に濡れて変色した着色粒、虫に食われた虫害粒などがあります。これらの被害粒が混ざっていると、雑味や変な臭いの原因となり、せっかくの酒米の持ち味を損ねてしまうのです。そのため、お酒造りに携わる人々は、質の高い酒米を選び、被害粒を徹底的に取り除くことに非常に気を遣っています。選別は、熟練した職人の目視や、光学センサーなどを用いた選別機によって行われます。さらに、精米の際に米を削る割合(精米歩合)を高めることで、より純粋な心白部分だけを使うことができます。精米歩合を高める、つまり米をたくさん削るほど、雑味は少なくなり、洗練されたお酒となります。このように、酒米の選別は、美味しいお酒造りの最初の重要な段階と言えるでしょう。