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ウィスキー

蒸留所の心臓部:チャージャーの役割

お酒は、さまざまな工程を経て作られます。特に、ウイスキーやブランデーといった蒸留酒は、複雑な製造過程を経て、あの芳醇な香りと味わいを生み出します。数ある工程の中でも、あまり知られていないものの、お酒の品質を左右する重要な装置があります。それが「チャージャー」です。今回は、この縁の下の力持ちであるチャージャーの役割と重要性について、詳しく見ていきましょう。チャージャーとは、蒸留器に麦汁やワインといった発酵後の液体(醪)を送り込む装置のことを指します。蒸留は、醪を加熱し、アルコール分を含んだ蒸気を冷却して液体に戻すことで、アルコール度数を高める工程です。この工程において、チャージャーは醪を適切な温度と速度で蒸留器に供給するという重要な役割を担います。醪の温度や供給速度が適切でないと、蒸留効率が低下したり、香味に悪影響が出たりすることがあります。そのため、チャージャーは蒸留酒造りにおいて、品質と効率を左右する重要な装置と言えるのです。チャージャーにはいくつかの種類があり、蒸留器の種類や製造規模によって使い分けられます。代表的なものとしては、ポンプで醪を送り込むポンプ式や、重力によって醪を送り込む重力式などがあります。また、醪の温度を調整する機能を備えたチャージャーもあります。蒸留の過程では、醪の温度管理が非常に重要です。適切な温度で醪を蒸留器に送り込むことで、雑味を抑え、より純粋なアルコールを得ることができます。このように、チャージャーは蒸留酒造りにおいて、醪の供給という点で品質管理の要となっています。そのおかげで、私たちはおいしいお酒を楽しむことができるのです。普段は目に触れることはありませんが、高品質なお酒を安定して供給するために、チャージャーはなくてはならない存在なのです。今後、蒸留酒を飲む機会があれば、その陰で活躍するチャージャーの存在に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
ビール

ビールの心臓部、スティーブを探る

ビール造りは、まず大麦を発芽させることから始まります。この発芽させる作業を製麦と言い、最初の工程は浸麦と呼ばれています。この浸麦を行うための大きな槽が浸麦槽で、スティーブという名前で呼ばれることもあります。まるで巨大な湯船のようなこの浸麦槽で、乾燥した大麦は水分を吸収し、目を覚ますように発芽の準備を始めます。乾いた大麦を浸麦槽に投入したら、水をゆっくりと循環させながら浸していきます。この時、水分の量と温度の管理が非常に重要です。まるで植物の種を育てるように、適切な水分と温度が発芽を促す鍵となります。この工程でどれだけ丁寧に管理するかが、後の工程、ひいては最終的なビールの味に大きく影響します。そのため、醸造家は細心の注意を払い、まるで我が子のように大麦を見守ります。大麦は浸麦槽の中で徐々に水分を吸収し、やがて発芽を始めます。この水分量の目安は40~45%ほどです。この適切な水分量に達するまで、40時間から50時間かけてじっくりと浸漬します。この間、水は定期的に交換され、新鮮な空気を送り込むことで大麦の呼吸を助けます。こうして、大麦は眠りから覚め、新たな命を芽生えさせる準備を整えるのです。まさに、ビール造りの心臓部とも言える大切な工程であり、醸造家の技術と経験が試される場でもあります。美味しいビールは、この最初の工程から既に始まっていると言えるでしょう。