
赤い酵母の秘密:桃色にごり酒ができるまで
お酒造りに欠かせないのが、小さな生き物である酵母です。米や麦などの穀物に含まれる糖分を食べて、お酒の素となるアルコールと炭酸ガスを作り出します。この酵母には様々な種類があり、それぞれが異なる特徴を持っています。その中には、赤い色素を持つ珍しい酵母も存在します。今回ご紹介するのは、その代表格である赤色酵母です。これは、自然界に存在する酵母を人の手で変化させたもので、その名の通り、菌体内に赤い色素を蓄積する性質を持っています。この赤色酵母を使って醸したお酒は、淡い桃色に染まり、見た目にも美しいお酒となります。例えば、米を原料としたにごり酒を赤色酵母で造ると、うっすらと桃色に濁った、華やかなにごり酒が出来上がります。桃色の他にも、オレンジ色や黄色といった色素を持つ酵母も存在します。これらの酵母を使うことで、お酒に様々な色合いを付けることができます。味わいはもちろんのこと、見た目にも楽しめるお酒は、食卓をより一層華やかに彩ってくれるでしょう。色のついた酵母は、近年注目を集めており、様々な種類のお酒造りに活用されています。例えば、日本酒以外にも、果実酒やワインなどにも利用され、見た目にも鮮やかなお酒が次々と生み出されています。このような色のついた酵母は、まるで魔法のような力を持つ小さな生き物です。その働きによって、私たちはお酒の新たな魅力を発見し、驚きと感動を味わうことができるのです。