輸出

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ビール

ペールエール:英国が生んだ黄金色の輝き

ペールエール、その名の通り「淡い色のエール」は、18世紀初頭のイギリスで生まれました。当時、人々に親しまれていたエールは色が濃く、どっしりとした味わいが主流でした。しかし、産業革命の波が押し寄せるイギリスで、人々の嗜好も変わりつつありました。そんな中、淡い黄金色のエールが登場し、人々の心を掴んだのです。ペールエールの誕生は、コークスを使った新しい焙煎技術の登場なくしてはありえませんでした。それまでの技術では、麦芽を焙煎する際にどうしても色が濃くなってしまっていました。麦芽に熱を加えるには、当然ながら燃料が必要ですが、当時は木や石炭などが使われていました。これらの燃料は燃焼時に煙や煤を発生させ、麦芽の色を濃くしてしまう原因となっていたのです。しかし、コークスは高温で燃焼しても煙や煤をほとんど発生させないため、麦芽の色を薄く保つことが可能になったのです。この技術革新によって、淡い色の麦芽を作るという長年の課題がついに克服され、ペールエールが誕生したのです。淡い黄金色をしたペールエールは、当時の濃い色のエールとは一線を画す、軽やかな飲み口と爽やかな後味が特徴でした。喉をスーッと通り抜けるような爽快感は、重厚な味わいに慣れ親しんでいた人々に新鮮な驚きを与えました。産業革命の活気溢れる時代、人々はより軽快で飲みやすいお酒を求めていました。ペールエールはまさに時代のニーズに合致した飲み物だったのです。こうしてペールエールは瞬く間にイギリス中に広まり、人々に愛される国民的な飲み物へと成長していったのです。
その他

移出価格:酒類輸出の基礎知識

お酒を海外へ送る時の値段、つまり移出価格について説明します。お店で買う時の値段とは少し違います。移出価格は、お酒を作る会社が、海外に送る会社や海外で買い付ける会社に売る時の値段です。この値段には、お酒にかかる税金は含まれていません。お酒を作るのにかかった費用と、作る会社の利益だけが含まれていると考えてよいでしょう。私たちがお店で買う値段には、この移出価格に加えて、色々なものが上乗せされています。例えば、お酒を運ぶ費用、国境を通る際にかかる税金、海外から買い付けた会社の利益、そして私たちが買う際にかかる税金などです。ですから、同じお酒でも国によって値段が違うことがよくあります。移出価格には、お酒の種類や材料費、人件費、会社の規模、為替の変動など、様々な要因が複雑に絡み合っています。例えば、希少な材料を使った高級なお酒は、当然ながら移出価格も高くなります。また、大量生産できるお酒は、製造費用を抑えられるため、移出価格も比較的安価に設定できます。近年では、輸送費の高騰や円安なども、移出価格に影響を与えています。お酒を海外へ販売する会社は、利益を確保しつつ、海外の買い手にも納得してもらえる価格設定をしなければなりません。そのため、市場調査や競合分析を行い、最適な価格を決定する必要があります。また、海外の文化や習慣も考慮に入れることが重要です。例えば、贈答用として需要が高い国では、高級なお酒の移出価格も高く設定できる場合があります。このように、移出価格をきちんと理解することは、お酒を海外へ売り買いする仕組み全体を理解する上でとても大切なことなのです。