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お酒の質感:テクスチャーを楽しむ

お酒を選ぶ際、何を判断材料にしているでしょうか?香りや風味、あるいは値段でしょうか?もちろんどれも大切な要素です。しかし、近年特に注目されているのが「舌触り」です。お酒を口に含んだ時の、舌触りや喉越し、口の中の感触といった五感を刺激する感覚は、お酒の魅力をより深く味わう上で欠かせないものとなっています。この舌触りは、単に滑らかとかざらついているといった単純なものではなく、お酒の種類や製法、温度など様々な要因によって変化します。今回は、このお酒の舌触りについて掘り下げ、お酒選びの新たな基準を提案します。お酒の舌触りは、大きく分けて「粘性」「重さ」「温度」「炭酸の有無」の4つの要素から成り立っています。粘性は、お酒のとろみ具合を表すもので、高いほどねっとりとした舌触りになります。これは、お酒に含まれる糖分やアルコール度数、熟成期間などに影響されます。例えば、長期熟成された濃いお酒は、高い粘性を持つ傾向があります。次に、重さは、口に含んだ時のずっしりとした感覚のことで、アルコール度数や成分の濃度と関係があります。軽いお酒は、サラリとした印象を与え、重いお酒は、コクのある印象を与えます。そして、温度は、お酒の舌触りを大きく左右する要素です。冷たいお酒は、キリッとした爽快感を与え、温かいお酒は、まろやかな印象を与えます。同じお酒でも、温度によって全く異なる舌触りを楽しむことができます。最後に、炭酸の有無も重要な要素です。炭酸が含まれているお酒は、シュワシュワとした刺激的な舌触りになります。ビールやスパークリングワインなど、炭酸の爽快感が魅力のお酒も多く存在します。このように、お酒の舌触りは多様な要素から構成され、お酒の種類や味わいによって千差万別です。この舌触りを意識することで、お酒の楽しみ方はさらに広がります。例えば、同じ種類の日本酒でも、精米歩合や醸造方法によって舌触りは大きく変化します。ワインであれば、ブドウの品種や産地、熟成方法によって様々な舌触りを生み出します。ウイスキーであれば、蒸留方法や熟成樽の種類によって、滑らかさや重厚感が変化します。お酒を選ぶ際には、香りや味だけでなく、舌触りにも注目してみてください。きっと、新たな発見があるはずです。
焼酎

乙類焼酎の世界を探る

乙類焼酎とは、読んで字のごとく、発酵させた醪(もろみ)を単式蒸留器で一回だけ蒸留したお酒のことを指します。蒸留回数が一回のみであるため、原料となる米、麦、芋、黒糖などの風味や香りがしっかりと残るのが大きな特徴です。そのため、旧式焼酎や本格焼酎とも呼ばれ、お酒好きの中では親しまれています。乙類焼酎の魅力は、何と言ってもその味わいの多様性にあります。同じ芋焼酎であっても、例えば鹿児島県産のさつまいもと宮崎県産のさつまいもでは、土壌や気候の違いがさつまいもの風味に影響を与え、出来上がった焼酎の香りや甘み、後味に顕著な違いが現れます。また、同じ蔵元が同じ原料を用いても、使用する酵母の種類や蒸留方法、貯蔵方法を変えることで、それぞれ異なる個性を表現することができます。まるで職人が技を競い合うように、各蔵元が独自の工夫を凝らし、多種多様な焼酎が生まれているのです。乙類焼酎の世界は非常に奥深く、原料や製法だけでなく、飲み方によっても味わいが変化します。ストレートで素材本来の力強い風味を楽しむのも良いですし、ロックや水割りでまろやかな口当たりを味わうのもおすすめです。また、お湯割りで温めると香りが一層引き立ち、寒い季節には身体を温めてくれるでしょう。このように、様々な飲み方でそれぞれの個性を堪能できるのも、乙類焼酎の魅力の一つです。初めて乙類焼酎を飲む方は、色々な銘柄を飲み比べて、自分好みの味わいを見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。きっと、あなたを魅了する一本との出会いがあるはずです。