酒造年度

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日本酒

増醸割合:日本酒の製造における重要な指標

お酒造りの世界には、「増醸割合」という言葉があります。これは、造られたお酒全体の中で、「増醸酒」と呼ばれる種類のお酒がどれくらいの割合を占めているかを示す数字です。では、増醸酒とは一体どんなお酒なのでしょうか。日本酒は、お米を発酵させて造られますが、増醸酒には、発酵の過程で「醸造アルコール」と呼ばれるものが加えられます。この醸造アルコールは、サトウキビなどを原料とした純粋なお酒です。これを加えることで、独特の風味と飲み口が生まれます。一般的に、増醸酒は、甘みがあり、口当たりがまろやかで、飲みやすいと言われています。この増醸割合は、どのように計算されるのでしょうか。お酒造りに欠かせないお米。その年に使われるお米の総量を基準として、その中で増醸酒を造るためだけに使われたお米の量がどれくらいかを計算することで、割合が求められます。具体的な例を挙げてみましょう。ある年に、お酒造りで使うお米が全部で100トンだとします。そのうち、23トンのお米が増醸酒造りに使われたとすると、増醸割合は23%となります。この増醸割合は、日本酒全体の品質や味わいのバランスを保つために、とても大切な指標となっています。増醸酒は、甘みと飲みやすさが特徴ですが、一方で、お米本来の風味や香りが控えめになる傾向があります。そのため、増醸割合を調整することで、様々な味わいの日本酒が造られ、私たち消費者の好みに合わせた多様な選択肢が提供されているのです。増醸割合を知ることで、日本酒の世界をより深く理解し、自分好みの味わいを見つける手がかりとなるでしょう。
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酒造年度:その意味と重要性

お酒は、米と水から生まれる、日本の伝統的な飲み物です。そのお酒造りには、一年を通じた工程と、独特の暦が存在します。それが「酒造年度」です。毎年7月1日から翌年の6月30日までの一年間を指し、お酒の製造期間を表す言葉として使われています。なぜ、7月1日から始まるのでしょうか?それは、新米の収穫時期と深く関わっています。お酒造りに最適な新米が、この時期に収穫されるため、酒造年度の始まりも7月1日に定められました。さらに、この時期は、気温と湿度が比較的安定しており、お酒造りにとって理想的な環境が整っています。高温多湿の夏を避け、気温が下がり始める秋から冬にかけて、じっくりと発酵と熟成を進めることができるのです。この酒造年度は、お酒の品質管理においても重要な役割を担っています。製造年を明確にすることで、品質の追跡や管理を容易にし、高い品質を維持することに役立っています。お酒のラベルをよく見ると、「BY」という記号と西暦の下二桁が記載されているのに気付くでしょう。これは、酒造年度を示すものです。例えば、「23BY」とあれば、2023年7月1日から2024年6月30日までに製造されたお酒であることを示しています。このように、酒造年度は、お酒造りの歴史と伝統を反映した、日本独自の制度と言えるでしょう。新米の収穫時期、そして気温と湿度といった自然のサイクルに合わせたこの制度は、四季の移ろいと共に、高品質なお酒を生み出し続けているのです。
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しぼりたての魅力:新酒の鮮度を楽しむ

「しぼりたて」とは、その名の通り、搾りたてほやほやの日本酒のことです。まるで木から摘み取ったばかりの果実のように、日本酒も搾ったばかりの状態が最もみずみずしく、力強い風味を味わえます。一般的には、寒い冬の間、じっくりと仕込まれたお酒が、春の訪れとともに「しぼりたて」として私たちの元に届きます。春の芽出しを思わせるような、フレッシュで躍動感あふれる味わいは、まさに春の味覚の代表格と言えるでしょう。お酒造りの現場では、この「しぼりたて」以外にも、様々な呼び名で呼ばれています。生まれたての力強さを表す「あらばしり」や、その年初めて搾られたお酒であることを示す「初しぼり」など、どれも新鮮な味わいを想起させる名前ばかりです。これらの呼び名は、蔵元ごとのこだわりや伝統を反映しており、それぞれの個性が光ります。「しぼりたて」の味わいは、その年の気候や米の出来具合、そして蔵人たちの技術によって微妙に変化します。同じ蔵元でも、毎年全く同じお酒ができるわけではなく、まさに一期一会の味わいを楽しむことができます。そのため、毎年飲み比べてその年の個性を感じ取るのも、「しぼりたて」ならではの楽しみ方の一つです。「しぼりたて」は、火入れと呼ばれる加熱処理を行っていないことが多いため、繊細な風味と豊かな香りが特徴です。ただし、このフレッシュさゆえに、保存には注意が必要です。温度変化の少ない冷暗所で保管し、なるべく早く飲み切るのがおすすめです。春の訪れとともに、その年にしか味わえない「しぼりたて」をぜひお楽しみください。口に含んだ瞬間、春の息吹と蔵人たちの情熱が、五感を刺激することでしょう。
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酒のラベルを読み解く:BYって何?

お酒のラベルには、様々な情報が記されています。銘柄や原材料はもちろん、アルコール度数や容量など、お酒を選ぶ上で欠かせない情報が詰め込まれています。その中でも、少し見つけにくい場所に記されているのが「製造年度を示す記号」です。「BY」という二文字のアルファベットを見かけたことはありませんか?これは一体何を意味するのでしょうか?実はこの「BY」とは、酒造年度(Brewery Year)の略称です。つまり、そのお酒が製造された年度を示す大切な情報なのです。普段何気なく見ているラベルに、こんな秘密が隠されていたとは驚きですね。では、なぜ製造年度が重要なのでしょうか?それは、お酒の味わいや香りが製造年度によって変化する場合があるからです。例えば、日本酒であれば、同じ銘柄でも製造年度によって米の出来具合が異なり、それが味わいに影響を与えることがあります。また、ウイスキーのように熟成期間が長いお酒であれば、製造年度によって熟成環境が異なり、それが風味に微妙な変化をもたらします。製造年度を知ることで、お酒選びの幅が広がります。同じ銘柄でも、異なる製造年度のものを飲み比べてみれば、それぞれの個性を楽しむことができます。例えば、フレッシュな味わいを求めるなら、製造年度が新しいものを選ぶと良いでしょう。逆に、熟成された深い味わいを求めるなら、製造年度が古いものを選ぶと良いでしょう。このように、ラベルに記された小さな「BY」には、お酒の奥深い世界への扉が隠されています。お酒を選ぶ際には、ぜひ「BY」にも注目してみてください。製造年度を知ることで、より一層お酒を味わうことができるはずです。