酒類製造

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お酒造りと青カビ:歓迎されざる客

私たちの暮らしの中で、食品に生えるカビはよく見かけるものです。特に、パンや餅、果物などに生えやすい青緑色のカビは、一度見るとその鮮やかな色に驚くことも少なくありません。この青緑色のカビの仲間は、青カビと呼ばれています。青カビは、ペニシリンという薬を作るもとになる菌として知られており、医療の分野ではなくてはならないものとなっています。しかし、食品に生える場合は、味や見た目を悪くしてしまうため、一般的には好まれません。実は、お酒造りの世界でも、青カビは嫌われ者です。お酒造りにおいて、カビは麹菌など一部の種類を除いて、雑菌として扱われます。お酒造りでは、麹菌などの良い菌を育て、お酒の風味や味わいを作り出していきます。しかし、青カビのような雑菌が繁殖してしまうと、目指すお酒の味とは異なるものになってしまい、品質が落ちてしまうのです。青カビは空気中を漂っている胞子によって繁殖するため、蔵の中に入り込んでしまう可能性があります。そのため、蔵の中を清潔に保つことはもちろん、温度や湿度を適切に管理することも重要です。もし青カビが発生してしまうと、せっかく仕込んだお酒が台無しになってしまうこともあります。蔵人たちは、長年の経験と技術を駆使して、青カビの発生を防ぎ、美味しいお酒を造るために日々努力を重ねているのです。また、私たちが家庭でお酒を保管する際にも、青カビの発生には注意が必要です。特に、開封後のお酒は、空気に触れることでカビが生えやすくなります。適切な温度で保管し、開封後はなるべく早く飲み切るように心がけましょう。少しでもカビが生えている場合は、もったいないと思っても、飲むのは控えましょう。健康を損なう可能性があります。
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お酒の検定:品質と税金を守る仕組み

お酒の検定とは、私たちが日々口にするお酒が、決められた品質と量を満たしているかを確認する大切な検査のことです。この検査は、国が定めた基準に基づき、税務署の職員によって厳正に行われます。検定を通過したお酒だけが、正式に販売を許可されるのです。検定では、お酒の種類に応じて様々な項目が調べられます。例えば、お酒の量はもちろんのこと、アルコール度数や含まれる成分の量なども細かく測定されます。日本酒であれば、日本酒度や酸度といった日本酒特有の指標も確認されます。ビールであれば、麦芽の使用比率や苦味の度合いなども重要な検査項目となります。焼酎であれば、原料や蒸留方法によって異なる基準が適用されます。ワインであれば、ブドウの品種や産地、醸造方法などが厳しくチェックされます。このように、お酒の種類によって検査内容は多岐に渡ります。検定は、消費者の私たちにとって大きな利益をもたらします。まず、品質の保証です。検定によって、お酒が安全で一定の品質を保っていることが確認されます。安心して美味しいお酒を楽しむことができるのは、この検定のおかげと言えるでしょう。次に、適正な価格の維持です。検定によってお酒の量が正確に測定されるため、不当に高い価格で販売されることを防ぎます。また、検定によって得られた情報は、酒税の計算にも利用されます。酒税は、国にとって重要な財源の一つであり、私たちの暮らしを支える様々な公共サービスに役立てられています。検定は、お酒の製造者にとっても大切な手続きです。検定を通過することで、自社製品の品質の高さを証明することができます。消費者の信頼を得て、販売を促進するためにも、検定は欠かせないプロセスと言えるでしょう。このように、お酒の検定は、消費者と製造者の双方にとって、そして国にとっても、重要な役割を果たしているのです。私たちが美味しいお酒を安心して楽しめる背景には、こうした地道な検査があることを忘れてはなりません。