BOD

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水質の鍵、生化学的酸素要求量

生化学的酸素要求量(略してビーオーディー)は、水質の汚れ具合を調べる大切な目安の一つです。水の中に溶けている生き物の栄養となる物質が、目に見えない小さな生き物によって分解される時に、どれだけの酸素が使われるかを数値で表したものです。この数値が高いほど、水の中の汚れが多く、水質が悪いと判断できます。水の中には様々な生き物が住んでいますが、目に見えない小さな生き物たちは、生き物の栄養となる物質を分解することで生きています。この分解の過程で、水に溶けている酸素を使います。この小さな生き物たちを微生物と呼び、栄養となる物質を有機物と呼びます。微生物は有機物を食べて、水と二酸化炭素に分解しますが、この時に酸素を必要とします。ビーオーディーの値は、水の中にどれだけ有機物が溶けているかを示す指標となります。有機物が多いということは、微生物が分解するのに多くの酸素を必要とするため、ビーオーディーの値が高くなります。逆に、きれいな水には有機物が少ないため、ビーオーディーの値は低くなります。私たちの生活から出る排水、例えば台所やお風呂、トイレからの排水、そして工場からの排水には、多くの有機物が含まれています。これらの排水が川や湖に流れ込むと、水中の有機物の量が増え、ビーオーディーの値が上昇します。ビーオーディーが高い状態が続くと、水中の酸素が不足し、魚や水草などの生き物が生きていけなくなります。そのため、川や湖などの水質を守るためには、ビーオーディーの値を常に監視し、適切な対策を講じる必要があります。ビーオーディーは、私たちの水環境を守る上で、非常に重要な指標なのです。
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お酒と水質:BODの重要性

おいしいお酒を造るには、良い米、良い麹はもちろんのこと、仕込み水も大切です。お酒の約8割は水でできていますから、水の良し悪しがお酒の味わいを大きく左右するといっても言い過ぎではありません。お酒造りに適した水とはどのようなものでしょうか。まず、硬度の低い軟水であることが重要です。硬度の高い水、いわゆる硬水を使うと、お酒に渋みが出てまろやかさが失われてしまいます。反対に軟水は、麹菌の生育を助け、米の旨味を優しく引き出してくれます。次に、雑味や臭みの原因となる鉄分やマンガンなどの物質が少ないことも重要です。これらの物質は、お酒に変な味や香りを付け、せっかくの風味を損ねてしまいます。お酒造りに適した水は、無色透明で、くせがなく、清らかなことが求められます。古くから、酒蔵は清冽な水が湧き出る場所に建てられてきました。これは偶然ではありません。名水と呼ばれる湧き水や井戸水は、酒造りに最適な条件を備えているからです。ミネラル分が程よく含まれ、雑味が少ないこれらの水は、お酒にまろやかさと奥行きを与えてくれます。全国各地にある名水の地には、多くの酒蔵が立ち並んでいます。灘、伏見、新潟など、名だたる酒どころは、いずれも良質な水に恵まれた地域です。これは、水質と酒造りの密接な関係を如実に物語っています。良い水は、良いお酒を生み、その土地の風土を反映した独特の味わいを醸し出します。まさに、酒造りは水との共同作業と言えるでしょう。