「よ」

記事数:(3)

日本酒

溶解実績:お酒造りの隠れた要素

お酒造りは、様々な要素が複雑に絡み合い、その深さは底知れません。原料選びから発酵、熟成まで、どの工程にも緻密な計画と熟練の技が必要です。その中で、普段あまり注目されることはありませんが、お酒の風味や出来栄えを大きく左右する重要な要素の一つに「溶解実績」があります。これは、副原料となるぶどう糖などを水に溶かした際に、溶液の体積がどれだけ増えるかを示す値です。一見すると小さな数値に思えますが、実はお酒造りの全体像を知る上で欠かせない要素なのです。まず、お酒造りにおいて、なぜ溶解実績が重要なのかを説明します。お酒造りでは、正確な糖度の管理が求められます。糖度は、お酒の甘みやアルコール度数に直接影響するため、仕上がりの味を左右する重要な要素です。ぶどう糖などの副原料を加える際、その溶解実績を考慮しないと、想定していた糖度と実際の糖度にずれが生じ、味が変わってしまう可能性があります。例えば、溶解実績を正しく計算せずに副原料を加えると、思ったよりも糖度が高くなり、甘すぎるお酒になってしまうかもしれません。反対に、溶解実績を見誤ると、糖度が低すぎて、味が薄く物足りないお酒になることもあります。さらに、溶解実績は、タンクなどの設備の容量管理にも関わってきます。副原料を溶かした際に体積が増えることを考慮せずに仕込みを行うと、タンクから溶液が溢れてしまう可能性があります。これは、製品のロスに繋がるだけでなく、作業場の衛生管理上も問題です。また、タンクの容量不足を見積もると、仕込み量を調整する必要が生じ、生産効率の低下にも繋がります。このように、溶解実績は、一見すると小さな数値ですが、お酒の風味や品質、そして生産効率にまで影響する重要な要素です。お酒造りに携わる者は、溶解実績を正しく理解し、緻密な計算に基づいて作業を行う必要があります。今回の解説を通して、溶解実績の重要性について理解を深めていただければ幸いです。
日本酒

日本酒と横型精米機の深い関係

日本酒造りには欠かせないお米、酒米。その酒米を磨き上げる精米という工程は、日本酒の風味を大きく左右する重要な作業です。精米とは、収穫されたままの玄米から、表面の糠や胚芽といった不要な部分を削り落とす作業のことを指します。この削る割合を精米歩合と呼び、パーセントで表します。例えば、精米歩合70%とは、玄米の重さの70%まで削り、30%を削り落としたことを意味します。この精米歩合は、日本酒の味わいに深く関わっています。精米歩合が高い、つまり米の外側を多く削るほど、中心部分に近い白米が得られます。米の外側には、たんぱく質や脂質、ビタミンなどが多く含まれています。これらは、日本酒にとって雑味や好ましくない香りのもととなる場合があるのです。一方、米の中心部分はでんぷん質が豊富で、純粋な甘みとすっきりとした後味を生み出します。そのため、精米歩合の低い米を使うほど、雑味の少ない洗練された味わいの日本酒に仕上がるのです。一般的に、吟醸酒や大吟醸酒といった香り高く繊細な味わいの高級日本酒は、低い精米歩合の米を用いて醸されます。大吟醸酒では50%以下、吟醸酒では60%以下の精米歩合が定められています。逆に、精米歩合が高い米は、しっかりとしたコクと力強い味わいが特徴の本醸造酒などに用いられます。このように、精米歩合は日本酒の個性を決定づける重要な要素です。精米の技術は長年の経験と高度な技術を要し、酒蔵のこだわりが凝縮されています。それぞれの酒蔵が理想とする日本酒の味わいを求めて、精米歩合を調整し、丹精込めて日本酒を造り上げているのです。
日本酒

お酒造りに欠かせない水の力

お酒は、米、米麹、水というシンプルな材料から作られますが、その中でも水は全体の約8割を占めるほど大きな割合を占めています。そのため、仕込み水の水質はお酒の味わいを大きく左右する重要な要素となります。単なる溶媒としてだけでなく、酵母や麹菌の生育、発酵の進み具合、最終的な風味や香りにまで、水は深く関わっているのです。酒造りに適した水には、いくつかの条件があります。まず、硬水よりも軟水が好まれます。これは、硬水に含まれるマグネシウムやカルシウムなどのミネラル分が、麹菌の酵素の働きを阻害したり、発酵を遅らせたりする可能性があるためです。逆に、適度なミネラル分を含む軟水は、麹菌や酵母の活動を活発にし、豊かな味わいを生み出す助けとなります。また、雑菌の繁殖を抑えるためにも、水は清浄であることが求められます。古くから酒造りが盛んな地域には、名水と呼ばれる湧き水や井戸水が存在することが多く、それぞれの酒蔵はその土地の水脈から湧き出る水を大切に使用しています。例えば、京都の伏見は日本酒の名産地として知られていますが、これは良質な地下水に恵まれていることが大きな理由の一つです。酒蔵は、その土地の水質に合った酒米を選び、独自の製法を編み出すことで、その土地ならではのお酒を醸し出しているのです。このように、水は酒造りにおいてまさに命と言えるほど重要な要素であり、酒蔵はその土地の水を活かすことで、個性豊かなお酒を生み出しているのです。日本酒の奥深さを知るためには、その背景にある水へのこだわりにも目を向ける必要があると言えるでしょう。