ZEMON

記事数:(1)

その他

ゼモン:伝統と革新が融合した蒸留器

富山県高岡市は、四百年の歴史を誇る高岡銅器の産地です。銅器の製造で培われた高い技術力は、日常生活で使われる製品から、美術工芸品、寺院の梵鐘に至るまで、幅広い分野で活かされてきました。その高岡の地で、銅器の伝統技術と、日本の梵鐘製造で高いシェアを誇る老子製作所の協力によって、画期的な蒸留器「ゼモン」が誕生しました。この「ゼモン」は、高岡銅器の伝統的な鋳造技術を駆使して作られています。特に注目すべきは、銅と錫の合金を用いている点です。銅は熱伝導率が高いため、蒸留器全体に熱が均一に伝わり、蒸留の過程で繊細な温度調節を可能にします。また、錫は不純物を取り除き、お酒の雑味を軽減する効果があります。銅と錫の合金は、古くから酒器にも用いられてきた素材であり、お酒の風味をまろやかにする効果があることは経験的に知られていました。この二つの金属の長所を組み合わせることで、「ゼモン」は、まろやかで質の高い蒸留酒を生み出すことを可能にしました。「ゼモン」の製造過程では、高岡銅器の職人たちが長年培ってきた鋳造技術が遺憾なく発揮されています。一つ一つの部品が丁寧に鋳造され、精密に組み合わされます。その精巧な作りは、まさに日本のものづくりの粋と言えるでしょう。また、老子製作所が誇る梵鐘製造技術も、「ゼモン」の開発に大きく貢献しています。梵鐘の製造で培われた、大きな金属を鋳造し、美しい音色を生み出す技術は、「ゼモン」の形状や素材の選定に活かされています。伝統的な技術と現代の蒸留技術が見事に融合した「ゼモン」は、高岡銅器の新たな可能性を示す革新的な製品です。今後、この蒸留器によって生み出される高品質なお酒が、世界中で楽しまれるようになることが期待されます。